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歯周治療の方向性

(Linde 臨床歯周学とインプラント第3版 岡本浩監訳1999年12月25日発行より抜粋)

大多数のヒトについては,歯肉の健康を維持するには機械的清掃法だけでは不十分であり,歯周病に感染しやすい患者にとって,これだけでは歯周疾患の発症と進行や再発を予防することは不可能である。
歯肉炎と歯周炎が重要な症状ではなく,慢性であるならば,個々のリスクに応じた予防や治療に対して化学薬品を使用することは,まさに正解である。(499頁)

歯周治療には、おのずと限界があり、疾患を軽減する効果は確かにあるものの、すべてを完全にしかも永続的に治癒させることは不可能なことである。われわれは時として、歯周疾患が高度に進行し、それを完全にくい止める見込みが無いにもかかわらず、治療に入らねばならないことがある。こういう場合、治癒を目的とした治療よりも姑息的な治療を施した方が良いこともある。歯周治療が単に症状の改善にだけを目的に行われ治療を終わらせたならば、後日現われた歯周組織の悪い方への変化に適切な対応ができない。そして多くの症例において何のための治療であったのか疑問を持つことになる。
 
 歯周治療により多少の炎症徽候が存在していても、必ずしも治療の失敗を意味するものではなく、治療により良好な状態を維持させることで、
臨床的に著明な炎症を認めず、ポケットの深さや歯の動揺が許容範囲内で安定し、・線的に骨吸収が明らかに停止した状態を維持させることがメインテナンスの目的となる。

(引用文献  デンタルダイアモンド増刊号vol.15 no.9 保険医のための最新歯周治療システム 292頁 保母良基,宮田裕之 日本歯科大歯周病学教室 )


『歯周病はカンジダ菌が原因である』とか,『虫歯もカンジダ菌が原因である』ということが闊歩するのは現在の歯周治療に疑問,不満,無力感を開業医が抱いている証拠である。それを非難・中傷する研究者もいるが,歯周治療学は終わったと豪語する友人もいるが,一般の開業医にとっては歯周病は不治の病である。

歯周治療の方向性 

歯周治療には限界がある。患者さんが悪くなるまで来院しないこと,症状が出るまで来院しないこと,による。歯周病は沈黙の病気と言われ症状が出た時は末期という状態である。ハッキリ言って手遅れである。だからといって患者さんは「歯を抜きたくない」と言って駄々をこねる。。しかし,病状が出るまで歯医者に行きたくない気持ちもよく分かる。この矛盾の隙間を埋める治療法が欲しい。我が儘をかなえる治療法が欲しい。患者の気持ちを最優先した治療法を切望している。

抜歯判定基準を下げたい。現在手遅れといわれる歯牙を抜き化学洗浄して歯周組織細胞を歯根に塗布して抜歯窩に再植したい。もう少しすれば実用化されると思うが,骨膜下にスポンジ状の骨素材を滑り込ませれば自家骨と置き換わり歯槽提を築盛できるというもの。以前アパタイトで騙されたが...。

開放系の口腔で抗生物質,抗真菌薬を何度も投与することは得策ではない。今迄随分と子供の頃からこれらを投与されてきたが,歯周病患者は一向に減らないし,健康になった試しはない。我々文明人は細菌に強い。細菌に強いのが文明人の証である。とすると我が家の犬の方が文明人か...。

開放系にあっては洗口剤や歯磨剤,消毒剤のような耐性を持たない薬剤による歯周病治療薬が望ましい。

歯石が簡単に溶ける薬剤開発が望まれる。レーザーも今ひとつ。ポケット内の歯石も歯垢も簡単に溶ける薬剤が欲しい。SRPはしたくない。

歯周治療には限界がある。

写真ではなんの問題もないと思われる歯牙なのに咬合痛を訴える。万策つき抜歯してみると根尖まで茶褐色歯石がついている。ポケット針さえ根尖まで入らなかったのだから,スケーラーが入る訳がない。こういう場合抜いて清掃して抜歯窩に戻せばよいという治療法の確立が望まれる。